養護教諭サポート隊と災害時支援員会の歩み

養護教諭サポート隊と
災害時支援員会の歩み

1.養護教諭サポート隊の結成と歩み
2.災害支援委員会の設立
3.養護教諭サポート隊
支援システム
4.養護教諭サポート隊
支援システム解消

1.養護教諭サポート隊の結成と歩み

平成16年7月18日
この日、福井県嶺北地方で記録的な豪雨が発生しました。福井市、鯖江市、美山町、池田町、今立町では河川の増水による堤防の決壊、土石流、流木などにより多くの家が被害を受けました。自分の家や、大事にしていたおもちゃ、服、大切な教科書やノートが目の前で流されてしまった子どもたちのダメージは計り知れません。また、校舎内にも泥水が入り、保健室としての機能が望めなくなってしまった学校もありました。

南中山小学校 被災当時の状況

平成16年7月28日
「養護教諭として、私たちになにかできることはないだろうか…」
そんな思いから『福井県養護教諭サポート隊』を結成。翌7月29日には研究会長校(成和中学校)の保健室に派遣本部が設置され、午後には一乗小および美山地区に先遣隊を派遣し、被災状況の調査を行いました。

平成16年7月30日~8月20日
福井県養護教諭研究会から理事を通じて会員にサポート隊の募集を行いました。
福井県教育庁スポーツ保健課(現保健体育課)より、被災校とすべての学校長あてに、サポート隊についての依頼文書を送付し、計230名の申込がありました。
養護教諭は、自校の校長に申し出、公務として被災校に出向き、サポート隊として活動しました。
県内108名の養護教諭が、6つの被災校で支援活動を行いました。

活動の詳細
活動した学校(活動した養護教諭の人数)
・美山啓明小(45名)  ・下宇坂小(32名)
・羽生小(16名)    ・南中山小(9名)
・服間小(2名)     ・一乗小(3名)
活動校には、研究会長が巡回を行いました。

活動の内容
活動にあたっては、学童保育(心のケア)と保健室機能回復支援(泥に浸かった保健室の復旧作業)を主に行いました。連日暑い中で復旧作業が続き、遊び場もなく埃が舞う中での生活を余儀なくされていた子どもたちは、心身に大きなストレスを抱えていました。 サポート隊として派遣された養護教諭は、子どもと一緒に遊んだり、話を聴く活動を通したりしながら心身の変化を観察し、喘息やアトピーの悪化にも目を配るなど、心と体の両面にかかわる支援活動を行いました。

引継ぎノートの活用
毎日、違う養護教諭が派遣されるため、各学校に「引継ぎノート」を用意し、児童の様子などを次のサポート隊やその学校の養護教諭に引き継ぎました。
この引継ぎノートの活用で、サポート隊同士の連携と児童の継続観察が可能となり、より効果的な活動につなぐことができました。

活動の様子は、ニュースで紹介されました。

子どもたちの心のケア
私たちはこんなことを心がけました

少しでも「楽しい」と思ってもらえる時間を持ちたい、子ども達に笑顔が見られるように…という気持ちで接した。

災害のことを話してくる子には 「大変だったね」「つらかったんだね」など肯定的な声かけをするように努めた。

特別なことはできないが、まわりに自分と関わってくれる大人がいるということが、少しでも子ども達の心の安定につながってくれるとよいと思った。

小さい子どもの中には、そっと体を寄せてきたり膝の上に乗ってきたりとスキンシップを求めてくる子もいて、肌が触れ合う大切さを感じた。

一緒に食事をすることで、いっそう子ども達との距離が縮まるように感じた。

資料づくり班の活動
サポート隊とは別に、資料作成班を結成しました。数名の養護教諭が担当し、次のような資料を作成しました。
・子ども達の心のストレス反応を把握するためのチェックリスト(児童用・生徒用)
・被災児童・生徒のかかわり方についてのポイントを示した保健だより(保護者用・職員用)
・家庭訪問の記録用紙(個人票・一覧表)
この資料を、メールやフロッピーで被災校に届けました。
この時作成された資料は、現在も見直しを続けながら引き継がれています。

平成16年8月26日
当初、7月28日実施予定の夏季研修会が延期され、8月26日開催となりました。
当初の予定を変更し、「災害時支援」の班が特設され、養護教諭の支援活動について話し合われました。

平成16年11月2日
「福井豪雨」による被災児童生徒が在籍する学校の養護教諭を対象に、県教育委員会主催の研修会が開かれました。
専門の先生に指導助言をいただくことができました。

平成16年11月
北陸学校保健学会(石川県)において、定永眞由美・杉下和恵養護教諭が、災害時における心のケアに関わる養護教諭の支援について、サポート隊の取り組みと被災校養護教諭として支援を受けた現状を発表しました。

平成17年2月10日
福井県養護教諭研究協議会で、聖マリアンナ医学研究所副所長藤森和美氏による講演「災害を体験した子どもの心のケア-養護教諭の役割-」をお聞きし、災害時の心のケアについて学びを深めました。

平成17年3月
活動の様子をまとめた報告書『「心のケアに関わる養護教諭の支援活動」-養護教諭サポート隊の取り組み-』を発刊しました。
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平成17年8月1日 福井新聞で取材を受けました。
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2.災害時支援委員会の設立

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